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満員御礼 日本の民俗をきく2 第2回街の人々(釈 迢空)

すっかりご報告が遅くなりました。 6月14日の「日本の民俗をきく2―釈迢空(折口信夫)の作品から」には、たくさんの方々にお出でいただきまして、改めましてありがとうございました。 当日のパンフレットPDFはこちらから

民俗学者としての折口の膨大な著作を前にすると、その全貌はわからないことだらけですが、根っこにはいつも短歌という表現手段がありました。 明治20年に生まれ、昭和28年に没した迢空の人生の活動期は、関東大震災とそれ以降の戦争に翻弄された時代と重なります。幸いにも残された自歌自註を参考に、歌に詠まれた当時の人々のくらし、迢空の人々に対するまなざし、はたまた自歌に対する冷静客観的(自虐的?)な鑑賞眼…等々の一端をご紹介しました。

その他、同性愛者であった迢空、東京にくらしても終生関西弁を手放さなかった迢空、戦争短歌を詠んだ迢空、最愛の男性を硫黄島の激戦で亡くした迢空と戦後…などにも触れました。

時代の波に翻弄された当時の空気を単に非難したり同情するのは簡単ですが、そもそも、「弱さ」のようなものこそが「街の人々」をかたちづくっているのかもしれず、迢空の歌にも、迢空その人自身にも、決着のつけようのない弱さと強さが混じりあっているとも言えます。横断的な眼を持った一人の民俗学者(そして一人の都会人)が詠む歌を時系列に見て行くことで、不穏な空気の広がる現代の問題もまた見えてくるのではないか…。そんな思いも持ちつつお話させていただきました。

※当日の古民家がL字型な上に薄暗かったので、レイアウトにやや難があり、失礼いたしました。

次回7月12日はいよいよ今期の最終回です。


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