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花を造る家

薬師寺では3月31日まで花会式(修二会)が行われています。

花会式の名の通り、お薬師さまのいらっしゃる金堂に

大ぶりで色とりどりの見事な造花が飾られます。

花会式は正式には修二会と呼ばれ、

東大寺の「お水取り」と同じ「悔過(けか=懺悔)法要」のひとつです。

「花会式」の呼称は今から900年以上前、

堀河天皇が皇后の病気平癒を薬師如来に願い、見事快復、

翌年その御礼として皇后が女官に10種類の造花を造らせ

供えたのが始まりなのだそうです。

今では2軒の家族が、花造りの重責を担っています。

3月の初めに、そのうちの1軒を訪ねる機会に恵まれました。

花造りは花びらや葉に使う和紙の染色から始まり、

型抜き、葉脈や花びらの皺付け、すべて一からの手作業です。

おどろく量の花びらや葉や茎を一つひとつ手間ひまかけて仕上げるまでに

秋から始めて家族総出で一冬かかります。

ところどころ急いだからといって片付くような量ではないので

とにかく根気のいる作業です。

実際のところ、どう感じていらっしゃるのだろう…

本音が聞きたくなって、つい尋ねてみたところ

返ってきた答えは、

「すっごく楽しいよ!」

現実は根気がいるばかりでなく過酷な作業が続きます。

慣れるまでは手のひらに血がにじむこともしばしば、

家族に病人がでたり不幸事があったとしても、花造りが優先です。

それでも、花に囲まれた作業部屋の空気は始終なごやかで

先程の「すっごく楽しいよ!」はまじりっけなしの、

何かを作っている時の楽しさ、にあふれていました。

薬師寺の花会式に行かれることがありましたら

実際のつぼみのように、一枚一枚花のいのちが重ねられたような

見事な造花を、今一度まじまじと(笑)ご覧ください。

ちなみに花会式の終わったあとの造花は、関係者に「おさがり」として配られるそうです。

燃やされたりするのではないと聞いてホッとしました^-^


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